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2018年12月29日

居宅あおば

”変わらないその人らしさを信じて”

居宅介護支援事業所あおばの山下です。今年最後のブログです。今年も研修先や訪問先で多くの方とご縁をいただき、考えさせられたことがありました。その1つを皆さんにも知っていただけたらと思います。

認知症への対応が世界共通の課題となった今日。認知症の方自信が想いやニーズを発信する機会が増えています。私は多くの方と接している中で「世間では認知症=何もわからない、出来ない」と思われていると感じます。しかし本人の話に耳を傾けてみると、現実は違うということが伝わってきます。

ご本人・ご家族様が認知症を受け入れるのは簡単ではありません。家庭や社会で担っていた役割に失敗が増える中で、その人の本質を、本人も周囲も信じ続けられるかどうかが分かれ道だと思います。


研修でこんな事例を聞きました。物忘れが進み、今までできていた着替えや買い物ができなくなったり、生活に困難さを抱えて苦労されているAさんがいました。ご家族様は「こんなこともできなくなったの!?」「同じものばかり買ってきて。」「恥ずかしい。」「情けない。」「自分のことは自分でやってくださいよ。」「何回、言ったらわかるんですか!!」など、ご本人のことを否定する様な言葉がけをしていました。

そうするとAさんは、家にいることが苦痛となり家族の目を盗んで外出をするようになりました。当初は外出先から帰宅できていたものの、半年もたたないうちに方向が分からなくなり、第三者の方に助けていただき、帰宅することが増えていきます。本人は目的があって出かけていくのですが、途中で何をしたいかを忘れてしまっていました。

またご家族様も「あれもこれも出来なくなった。」「私にばっかり負担がかかる。人の話は聞かないし、好き勝手やって相手のことは考えてくれない。」「そういう性格だからいくら話してもダメ。私に意地悪をしている。」とAさんの性格の問題であると主張し、病気であることへの受入れが出来ない様でした。

一方、同じような症状のBさんには、早い段階でご家族様が病気を受入れ怒らず根気よく対応されていました。「どうしたの?」「何か心配な事でもありますか?」「買い物に行く前に、欲しいものを紙に書いてから行きましょうね。」「どの服を着ましょうか。」とご本人の気持ちを考えるような言葉がけをご家庭でされていました。同じ話を繰り返したり、置き忘れて探し回ることはあっても、病気の進行も緩やかで、安心して自宅で穏やかに過ごされています。

この様に同じような病状でも関わり方によって病状の進行が違ってきている様です。


・認知症の方は自分が受入れられないと思うと、より強く自分の主張をして逆効果を招くのではないか。

・何を望んでいるのかを考え、やさしく対応することで病気の進行を緩やかにできるのではないか。

・住み慣れた地域や近所付き合いにより、介護を必要とする時期を遅らせることができるのではないか。

私は認知症について「記憶は回復しないけれど、意欲は改善する」と思っています。ご本人・ご家族様が病気を前向きに捉えるのは容易なことではありません。”変わらないその人らしさを信じて”支援し、「認知症で幸せ」といえる社会作りのお手伝いをしていきたいと思います。

もし、ご自身やご家族様が認知症かもしれないと感じた時に気軽に立ち寄る事(相談)ができる事業所を目指して、これからも歩んでいきたいと思います。もちろん認知症だけではなく、日常生活での困りごとやご心配ごと何でもご相談ください。

今年も残り僅かになりました。体調に気をつけてよい年が迎えられますようにお祈りいたします。

 

浜松市北区の居宅介護支援事業所あおば  山下

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